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漫画やアニメが好きです。主にNARUTOを語っています。たまに二次創作もしてます。初めてきた方は「はじめに」を読んで下さい。 ※現在ほぼ更新停止状態ですが管理人は元気です。
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2016/01/02 (Sat)
どうも皆様あけましておめでとうございます、
去年ヒナタ誕生日に間に合わなかったキバヒナ小説です。

※「途切れた想いと続く恋」シリーズ 
 先に読んでたほうがいい気がするもの達。

注意事項。
原作最終話・ザラスト共に完全無視
・ナルサク結婚してる
・キバヒナ付き合ってる
・ヒナタ誕生日ネタにつき日向一族の生誕祝い行事的なもの捏造
・後半が糖分過多
・シノはきっとアカデミーの仕事中

よろしければどうぞー。

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 キバは青く高い空に向かって、白く温い息を吐き出した。場所は演習場の外れ。居るのはキバと赤丸だけだ。
 随分前、中忍選抜試験本選時にシノの応援に行くため、ここでヒナタと待ち合わせをしたことがあった。懐かしいな、とキバは頬を緩める。あのときは確か、オレが待ち合わせに遅れて、その間に何があったかは知らないが、ヒナタは惚けていたんだ。まぁ、詳しく聞きはしなかったが、きっとナルト関連だろう。今では里の英雄となった男に、その落ちこぼれ時代から惹かれていたヒナタの恋は、結局成就しなかった。もちろんキバにとっては願ったり叶ったりなのだが。
「十二月、二十七日……」
 今朝カレンダーで確認した日付を呟く。十二月二十七日。そう、今日はヒナタの誕生日だ。恋人の誕生日なのだ、祝いたいに決まってる。
 決まっているのだが。
「お嬢様、だもんな……アイツ」
 日向一族という、木ノ葉だけでなく他里にも知れ渡った名門に嫡子として生まれ育った彼女は、そのせいで苦しんできたわけだが、やはり「お嬢様」なのだ。「犬塚一族」や「油女一族」とはわけが違う。一緒の班になって、初めてお付きの人が存在すると知ったときの衝撃は忘れない。大切な仲間として対等な目線で接してはいたが、住む世界が違うと感じなかったと言えば嘘になる。
 今、日向のお屋敷では、盛大な、それでいて堅苦しい、一日がかりの生誕祝いが執り行われているのだろう。早朝に覗きに行ったがすでに準備が整っていて、臭いで奥にいるとわかるヒナタに声を掛けに行ける雰囲気ではなかった。それならば夜に、……というのは、下忍時代にすでに試した。「名門一族の嫡子の一人部屋に日が沈んでから訪ねる」行為の怖さを味わった。正直思い出したくない。本気で死ぬかと思った。ある意味、少年であったから許された行動。大人になった今、同じことをすればその行為にどんな名称がつけられるか。想像に難くない。
 でもなぁ、とキバは考える。今や一人前の忍者として次から次へと任務を言い渡される身だ。ヒナタとキバ、二人共が任務に当たっていない十二月二十七日など何年振りか。ましてや恋人という関係になってから初めて迎える今日この日であるのに――。
「クゥーン?」
 全盛期に比べれば幾分老いた赤丸が鼻を擦り付けてくる。誰よりもキバを理解しているこの相棒には筒抜けだったのだろう。キバは苦笑した。
「ははっ、くすぐってぇよ、赤丸」
 二、三度頭を撫でてから空を見る。……ヒナタが、一族で祝われることはわかっていた。長い付き合いなのだ。当日に祝えるのは「その日」に「同じ任務」が入ったときだけだとは承知している。これまでは当日の前後に気後れされない程度の物を贈ってきた。今年もそうすればいい。昨日任務帰りに買ったじゃないか。淡い緑色、木の葉の飾りがついたネックレス。チェーンはシルバーだ。きっと綺麗な濃紺の髪を持つヒナタによく似合う。
 明日、自分は任務が入っているが、ヒナタはどうだったか。大戦後、忍界は平和になったが、世界全体で見るとそうでもない。連日で休みが取れることなど稀だ。おそらくヒナタも任務だろう。じゃあ出発前にでも、お屋敷の前で待ち伏せして渡せばいい。

「クゥ、ウーン」
「ん、そうだな、悪い赤丸」
 そもそもの目的を思い出す。思い出に耽ってこんなところで立ち止まってしまったが、キバは赤丸と散歩をするために家を出て来ていたのだ。もう日が暮れかかっている。日向一族のお祝いはそろそろ終わっただろう。明日が楽しみじゃねぇか、と自分に活を入れる。

「よしっ、寄り道しながら帰る、……か……」

 ……赤丸より一瞬早く、キバの鼻が反応した。そんなまさか。チラッと赤丸を見る。「わんっ!」と一吠えしてキバが探知した方向に向き直った相棒を見て確信した。来る。こっちに。――何で?

「キバくんっ!」

 声と共にバッと上から降ってきたヒナタは、キバと目を合わせるとスッと白眼を収めた。「キバを探していた」という何よりの証拠。キバは動転した。
「……ヒナタ、どうして……」
「よかった、会えて……。あ、ごめんね、散歩の途中だったかな?」
「いや、それは別にいいけど、お前、その格好……」
 言葉に詰まりながら、ヒナタを見る。いつもと違い、淡い桃色の着物を身に着けていて、薄化粧もしていて。惚れた欲目だろうか。そうだとしても。
「あ、へ、変かな? ……着替えないで来ちゃったから……」
「変なわけねぇだろ! すげー似合ってる!!」
 目がちかちかする。オレの彼女はこんなに可愛いと、誰にでもいいから自慢したい気分だ。
「あ、ありがとう、キバくん……」
 ぷしゅうとヒナタが赤くなる。……キバは、数分前に考えていたことを思い出した。中忍選抜試験本選の日。待ち合わせ場所と同じ立ち位置。赤くなっているヒナタ。
 でも、今は、オレのことで、オレの言葉で、照れてくれてる。
「……なぁ、ヒナタ、何でオレを探してたんだ?」
 自惚れてもいいだろうか。ヒナタが、オレと同じくらい、本気で恋してくれてると。だって去年までは違ったはずだ。オレが何を褒めたって、多少どもりながらお礼を言ってくるだけだったはずだ。
「……それは……今日、キバくんに、会いたかったから……」
「ヒナタ!!」
 衝動的に叫んで、キバはヒナタを抱き締めた。ヒナタから「ひゃあ!?」と声が出た。

「誕生日おめでとう! オレも、今日、お前に会って言いたかった!」

 口元がニヤけているのが自分でもわかる。抱き締めているからヒナタの顔は見えないが、視界の端に映る耳は真っ赤に染まっていた。
「あ……ありがとう……」
 控えめに、ヒナタの手が背に回された。何だこれ。嬉しい思いしてるのオレじゃねぇか。今日はヒナタの誕生日なのに。
「なぁヒナタ、お前、一族の方は大丈夫なのか?」
「あ、うん。もう終わったから……ううん、違う、あの、本当はね。……ハナビに、どこでもいいから行って来たらって、追い出されちゃった。自分の誕生日なのに、私、ずっと集中力なくって。上手く誤魔化してたつもりだったんだけど、ハナビにはバレちゃった」
 あはは、と小さく笑う声がすぐ近くで聞こえる。ヒナタが喋る度に自分の鼓動の音が大きくなる。キバはヒナタの肩に手を置いて、少し距離を取った。きょとんとしたヒナタの顔が目に入る。キバの赤くなった顔も見られているだろうが、ドクンドクンと鳴り響く鼓動に気付かれるよりはマシに思えた。
「……ヒナタ、オレ、プレゼント用意してたんだけどよ、もう今日は会えねぇと思って、家に置いて来ちまった。これから時間あんならよ、お、オレん家に来ねぇか?」
「え……」
「あっ、もちろん帰りは送るからな! 最近日が落ちるの早ぇしな!」
 ははははと何に対してかわからない誤魔化し笑いをしながら、ヒナタの様子を窺う。……ヒナタは、嬉しそうに笑った。
「ふふっ……ありがとう、キバくん。夕食までには戻らないといけないから一時間くらいしかないけど、キバくんの家、行きたい」
 柔らかい笑顔に、更にキバの心臓が跳ねる。本当に何なんだ。今日オレの誕生日じゃねぇよな?
「よっしゃ、それじゃあ行こうぜ! ヒナタの今の格好に似合うと思う!」
「えっ、な、なんか、アクセサリーなの?」
「見てからのお楽しみな!」
 跳ね続ける心臓に気付かれないように無駄に大きな声を出しながら、キバは今しかないとヒナタの手を引いて走り出した。……「手を繋いだ」気でいるのは、自分だけだろうと思いながら、ヒナタの方を振り返る。
「……っ……」
 ……真っ赤に染まったヒナタの顔。つまり、まぁ、そういうことだろう。
「……あーもう!! 好きだヒナタ!!」
「きっ、キバくん!!?」
 気持ちが抑えられずスピードを上げながら叫ぶキバと、走りにくい服装で同じスピードをだしながら慌て、……数秒後、心底幸せそうに笑うヒナタ。
 そして二人の邪魔にならないよう、数メートル離れて付いていく賢い忍犬が一匹。

 キバの家で、その母と姉に冷やかされながら執り行った小さな誕生日パーティは、ヒナタのこれまでの生涯で一番のお祝いだった。


・終わり・


キバはきっと女性への贈り物のセンスは同期一だと思う。
ハナビちゃんはネジヒナは妨害するけど他CPなら応援してくれるイメージ。
何でだろ。やっぱネジ兄さんがヒナタを苛めまくってた過去を見てきたからかな。
赤丸は空気を読んでキバの幸せを願ってあげる本当に賢い子です。
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