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漫画やアニメが好きです。主にNARUTOを語っています。たまに二次創作もしてます。初めてきた方は「はじめに」を読んで下さい。 ※現在ほぼ更新停止状態ですが管理人は元気です。
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2015/07/04 (Sat)
登場人物→飯ビー、神殿組
注意事項→ピッコロさんにはいつものことだがデンデにも大概夢見てる

今更ですけど、飯ビーは他のカプと違って現実味があると言うか、
馴れ初めから子育てまで等身大なのが魅力ですよね。
悟飯が師によって戦いに巻き込まれて以来(って言い方すると悟飯に怒られそうだが)ずっと求めてた生活を実現させてくれたのがビーデルさんなんだなぁ。

・・・飯ビー初心者が何を言うかって話ですねすみません黙ります。
小説は続きからどうぞ。

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「ピッコロさん!」
「……っふうっ、悟飯くんスピード上げ過ぎよ! 息出来なかったじゃない!」
「あっ、ごめんビーデルさん……!」
 ビーデルをお姫様だっこしたまま神殿まで飛んできた悟飯は、謝りながらビーデルを下ろした。だが謝る者のする顔ではない。幸せで緩みきった笑顔の悟飯に、ビーデルは一瞬で怒りが抜け、思わず「ふふっ」と笑った。
「わあっ! とっても綺麗ですねビーデルさん! 悟飯さんもカッコいいです!」
「えへへ、ありがとう、デンデ」
「ありがとうございます、神様」
 目をキラキラさせてはしゃぐ地球の神に、新郎と新婦はお礼を言いながら身なりを正す。その声が聞こえたのか、神殿の中からミスター・ポポも出て来て笑顔で迎えた。神の斜め後方には、この場に来た瞬間に悟飯が名前を叫んだ者が無表情で立っている。アレ? 失敗かな、と悟飯は思った。ちょっとしたドッキリのつもりだったのだ。結婚式直後(文字通り直後)の訪問に驚くなり、怒るなり、何らかの反応を示すピッコロが見れると思ったのだが。
「それでは二人とも、いいですか?」
 コホンと咳払いを一つして、デンデが二人に確認する。悟飯はああそうだと思い直す。ここからが本番だ。ここからをピッコロさんに見せに来たのだ。

 数日前、ピッコロを結婚式に呼べないことに落胆した悟飯を見て、ビーデルが提案したことはこうだった。まずは予定通りの結婚式。そして披露宴の前に抜け出し、神殿に行く。デンデに神父役をやってもらい、誓いとキスをもう一度。
「その間の場繋ぎはパパに頼んでおくわ。イレーザたちはそれで誤魔化せるでしょ。悟飯くん側の人たちには、別にバレてもいいわけだし」
 ビーデルの言葉になるほどと感心し感謝すると同時に、悟飯は深く感動した。ビーデルにとっても一生に一度の大切な日だ。自分の「それでも、ピッコロさんに見て欲しい」という我が儘を温かく受け止めてくれる人など、世界中探してもそうそういるとも思えない。改めてビーデルが何物にも代え難く、愛しく思えてきて、悟飯は整理途中の荷物を飛び越えて衝動のままビーデルを抱きしめた。
 その翌日に二人は神殿に出向き、いつもの調子で話した後にピッコロが瞑想に入るのを見届けてから、デンデを手招いてこっそり一枚の紙を渡した。結婚式当日の計画、それに至った経緯、デンデにお願いしたい神父役のセリフをまとめた紙は、耳のいいピッコロに当日まで計画を知られないための策だった。デンデもそれを察したのだろう、紙を一読した後、笑顔を浮かべながら無言で何度も頷いてくれた。

「それでは。悟飯さん、あなたはビーデルさんを妻として、」
 デンデが真っ直ぐに悟飯を見て言葉を紡ぎ始める。あの日に手渡した紙は持っていない。初めて見る言い回しだっただろうに、全て覚えたのだろう。ナメック星人の記憶力をもってすれば簡単なのかもしれないが、それでも自分たちのために覚えてくれたのだと思うと、悟飯は胸が熱くなった。
「……病めるときも、健やかなるときも、共に歩み、互いに天寿を全うするまで、その手でビーデルさんを守り、愛することを誓いますか?」
 ……ん? と悟飯は違和感を感じた。書いた覚えのないセリフを言われた気がする。だが浮かれ気分だったこともあり、一旦思考を打ち切る。
「はい、誓います」
 幸せに弾んだ声の悟飯とは逆に、ビーデルは少し身構えた。夫はあまり気にしていないようだが、「共に歩み」から先の誓いの条件が変えられているのだ。変えられたからといって誓わないわけではないが、内容はきちんと把握していたい。先程の本当の式以上に言葉を噛み締める準備をする。
「ビーデルさん、あなたは悟飯さんを夫として、」
 ビーデルに向き直ったデンデが笑顔を湛えたまま続ける。ビーデルは幸せの中に緊張感という独特な心情で言葉を待った。
「……病めるときも、健やかなるときも、共に歩み、今まで通りに、学者である悟飯さんを支え、愛することを誓いますか?」
 今まで通りに。ビーデルは心の中で復唱する。学校でもジムでも、「今まで通り」というのは大抵褒められるときに言われる言葉だ。
「……はい、誓います」
 知らず知らずの内に、笑みが零れる。よく分からない嬉しさが心の中で渦を巻いていた。
「では、誓いのキスを」
 デンデに促されるまま、悟飯はビーデルのベールを上げる。ビーデルは目を閉じる。一瞬の口付け。ナメック星人にキスの意味が理解出来るのかは分からないが、師に自分の結婚式を見てもらえるだけで、悟飯は満足だった。
「――どうか、地球が平和で、これから先、お二人が笑顔で暮らせますよう」
 それも書いてない、と悟飯は頭の片隅で思った。だが目の前のビーデルが柔らかく微笑んでいて、ベールの下から自分を見上げてくる目とぶつかった瞬間、もうどうでもよくなり、片隅からも追い出した。
「ありがとう、デンデ!」
「ふふっ、悟飯くん、表情緩み過ぎよ」
 さっきまでの、幸福さを抑えられないながらもキリッとした夫はどこへいったのか、だがそんな悟飯が愛おしくてビーデルは笑った。
「いえ! お二人ともとても素敵でした! 結婚式っていいですね!」
「……ったく……神に神父役をさせるとはどういう了見だ貴様ら」
 楽しげに笑う三人を一歩引いて見ていたピッコロが、ここにきて口を開いた。バッと悟飯がピッコロに向き直る。
「だってどうしてもピッコロさんに見て欲しかったんですよ!」
「わざわざ来なくてもここから見ていた」
「あっ、やっぱり見てくれてたんですね! でも目の前で見て欲しかったんです!」
「ぐっ……だ、だからといって神を巻き込むなッ」
「デンデだって楽しかったでしょ?」
「はい! とっても!」
「……デンデ……」
「ほーら三対一ですよピッコロさん!」
 はしゃぐ神様と夫、そして一人頭を抱えたピッコロが微笑ましく、ビーデルはふふふと笑った。笑いながら、神様の改められていたセリフを思い出す。
「あ、そうだ神様、さっきの誓いの言葉だけど……」
 ビーデルが言いかけた言葉に誰よりも早く反応したのは、意外にもピッコロだった。
「オイ、終わったのならさっさと戻れ」
 だがその反応はビーデルの求めていた答えではない。
「え、でも」
「いいから戻れ。いい加減お前の父が困っているぞ」
 チラリと下界に目をやったピッコロの言葉に、ビーデルは引き下がるしかなくなった。「それじゃあ、」と悟飯がビーデルを来たときと同じにお姫様だっこする。
「全部終わったらまた来ますね!」
「待ってますね、悟飯さん、ビーデルさん!」
 幸せな空気を身に纏い、新郎と新婦は来たときほどではないにしてもかなりのスピードで元の式場へと戻っていった。


「ふふっ、気付きますかね」
 デンデが笑う。ピッコロは神殿の淵に立ち、下を見下ろした。
「ビーデルは気付くかもしれんな。悟飯はほっとけ。どうせお前のセリフが変わったことにも大して疑問は持っていない。ビーデルの苦労が目に見えるわ」
「ピッコロさんは結構ビーデルさんのこと好きですよね」
「……?」
「ほら、さっきのセリフだって、『今まで通りに』って入れてたじゃないですか」
 デンデも小走りにピッコロの横に並び、下を見下ろした。ピッコロはチッと舌打ちする。少し離れた後ろから、ミスター・ポポが二人を見守る。
 誓いの言葉。アレンジしよういう案を出したのはポポだった。それに乗って、ドッキリの方向をピッコロから新郎新婦へ変更したのはデンデだった。「互いに天寿を全うするまで」「その手でビーデルを守り」「今まで通りに」「学者である悟飯を支え」。これらの言葉を考えたのは、ピッコロだった。
「ピッコロさんらしい言葉選びだったから、悟飯さんも気付くんじゃないかなぁ」
「フン、お前は悟飯を買い被り過ぎだ。あいつは父親の鈍さを全て受け継いでしまっている上に今はビーデルとの結婚で浮かれている。絶対に気付かん」
「うー……ピッコロさんが言い切るんならそうなんでしょうね……でもなぁ、もう戦いに巻き込まれないで寿命が来るまで生きて欲しいとか、それでも自分が一番大切に思っている人だけは自分で守れとか、ピッコロさんの想いがいっぱいに詰まった言葉だったのに……」
「…………オレはそんなことは言っていないぞ」
「えっ、でもそういうことでしょう? ビーデルさんへの言葉も、学者だってこと強調してて、悟飯さんが戦士ではなく学者として生きていくのを傍で見守っていて欲しいって意味なんじゃないんですか?」
「…………」
「神様、そんなにハッキリ解釈したらダメ。ピッコロ照れてる」
「えっ」
「うるさいぞミスター・ポポ」
 バサッとマントを翻して、ピッコロは神殿を蹴り下に飛んでいった。次に悟飯とビーデルが来たときに顔を合わせるのが気まずかったのだろう。来た二人が帰るまでは戻らないはずだ。
「……ポポさん、ピッコロさんのいない隙に、二人にあの言葉を考えたのがピッコロさんだってバラしたら怒られますかね?」
「それ、絶対怒られる。……でも、ポポ、それに賛成」
 口だけで笑うミスター・ポポに、デンデは満面の笑みで返した。
「あははっ! そうですよね!」
 贈る物など思いも付かないピッコロが、二人のために用意した言葉のプレゼントなのだ。贈り主が分からなければ意味がない。
 デンデは再び下界を見る。幸せと希望に満ちた、笑顔で溢れる世界を。

「――どうか、地球が平和で、これから先、お二人が笑顔で暮らせますよう」

 再度口にした言葉は、デンデが考えた、二人への言葉のプレゼントだった。


・END・

結婚式なんて知らないから色々めちゃくちゃなのは目を瞑って頂けると・・・。
あ、それと飯ビー頑なにお姫様だっこなのは超のポスターに萌えたからです。
ここまでお読み頂きありがとうございましたー!
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